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高橋寛

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弁護士 高橋 寛(たかはしゆたか) 元検事・元公証人 【主に従事してきた分野】 刑事事件、税務訴訟、交通事故、離婚、相続、遺言、マンションの漏水事故、借地・借家などの事件に取り組んできました。 【著書(共著)】 空き家・空き地をめぐる法律実務(新日本法規出版) 【所属】 愛知県弁護士会所属、同弁護士会「子どもの権利委員会」所属、同弁護士会「人権擁護委員会」所属

空き家が捜査の支障に -脱走犯の潜伏先かー

平成30年4月8日、愛媛県今治市にある松山刑務所大井造船作業場から脱走した平尾龍磨受刑者(27)が、盗んだ車で「しまなみ海道」を走り、広島県尾道市の向島(むかいしま)に逃げ込んで2週間以上が経ちました。

広島と愛媛両県警は、述べ1万人以上の捜査員を投入して、脱走犯の行方を捜索していますが、4月24日現在未だに見つかっていません。

瀬戸内海に浮かぶ人口2万人そこそこの島ですが、島内には1000軒以上の空き家が散在しています。空き家と雖も誰かの所有物件ですから、無断でドアや窓などをこじ開けて屋内に踏み込むことはできません。そのため捜査員も外側から気配を覗うことしかできず、脱走犯の発見は難航しています。所有者が誰か、その連絡先は何処かが分からない空き家が多数あるため、屋内への立ち入り同意を得ること自体が進まないようです。

この間に、島内では平尾脱走犯の犯行と思われる盗難も発生しており、島民の不安が続いています。脱走犯の発見が長引いている原因が空き家のみとは限りませんが、放置されたままの空き家は、脱走犯にとってお誂え向きの隠れ家になることは確かです。防犯対策面からも空き家対策は、本腰を入れて取り組む必要があります。

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遊休農地に減税と増税の分かれ道が

 我が国では、農地を相続したけれど農業をしていない非農家が増え、余っている土地が使いたい者に渡らず、空き地になっているケースが多くあります。この20年間で、全国の耕作放棄地は倍増し、滋賀県全体と同じ規模に達しています。
 そこで、耕作放棄地の発生防止と解消施策の一環として、平成28年度の税制改正大綱には、耕作に適した土地なのに放置されたままになっている遊休農地をめぐる税制を見直すことが盛り込まれました。
 それによると、遊休農地を長期間貸し出した場合は固定資産税を半額に減税し、貸し出さず耕作もしないで放置したままの場合は、固定資産税を現在の1.8倍に増税するというものです。
◎ 減税措置を受ける場合
 (要件)1 農地中間管理機構(農地集積バンク)を介して、農地を長期間貸し出すこと。
        ☆ 農地中間管理機構=平成25年12月13日に公布された農地中間管理事業の推進法によって、農地利用の集積・集約化を行うため、各都道府県に創設されました。ちなみに、愛知県では公益財団法人愛知県農業振興基金(電話052-951-3288)がこの事業を行っています。
     2 貸し出し期間が10年以上であること。
     3 所有するを農地の全てを貸し出すこと。

 (効果)1 貸出期間が10年~14年の場合は、3年間、固定資産税が半額に減税されます。
     2 貸出期間が15年以上の場合は、5年間、固定資産税が半額に減税されます。

 (運用)1 地域内の分散した農地を整理し担い手ごとに集約化する必要がある場合や、耕作放棄地について農地中間管理機構が所有者から借り受けます。
     2 機構は、必要な場合は基盤整備などの条件を整備した上で、担い手(法人経営、大規模家族経営、集落経営、
       企業)がまとまりのある形で農地を利用できるように配慮し、農地を貸し付けます。
◎ 増税対象とされる場合
 (要件)1 耕作地として再生できると農地中間管理機構が判断した遊休農地であること。
     2 耕作しないで放置していること。
 (効果) 平成29年度分から固定資産税が現在の1.8倍に増税されます。

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相続した空き家の譲渡に特別控除導入か

与党は去る12月16日、平成28年度税制改正の大綱を公表しました。

その中で、相続した空き家と敷地を、相続人が耐震改修したり除却して安全な状態にして譲渡した場合、譲渡所得3000万円の特別控除を認める制度が盛り込まれています。

これは、危険な空き家を減少させる施策の一環として、空き家を相続した人の管理費用負担軽減を図ろうというものです。

この特別控除を受けるためには、次の要件をすべて満たしている必要があります。
(1) 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
(2) 相続直前に被相続人だけが住んでいた家屋であること
(3) 地震に関する安全基準に適合する改修が行われた家屋又
   は家屋を除却して更地にした宅地であること
(4) 譲渡の対価が1億円以下であること
(5) 相続開始から譲渡までの間に事業や貸付で使用いていな
   いこと

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放置空き家に初の強制撤去を実施(横須賀市)

全国で増える一方の放置空き家の問題を解決するため、空家対策特別措置法が今年6月に完全施行されました。
これによって、そのまま放置すれば倒壊など著しく危険または有害となる特定空家に認定された空き家については、市町村長は空き家の所有者等に対し、必要な措置をとるように助言又は指導、勧告、命令を重ねることができることとなりました。

それでも必要な空き家の所有者等によって措置がとられないとき、市町村長は行政代執行の手続きに則り、強制的に放置空き家を取り壊し、除却することができることになりました。

このたび10月26日、神奈川県須賀市長が、この法律に基づく強制解体を執行し、空き家を撤去しました。これを皮切りに各地でも特定空家の強制撤去が執行されるものと思われます。

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このようなことが空家対策特別措置法で可能になりました。

本日(平成27年5月26日)から、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面的に施行されます。

我が国には、2013年10月の時点で、適切な管理が行われていない空き家が318万戸あります。このような空き家は、人が住んで管理されている住宅に比べると、劣化の進行が早まります。そのため、台風や大雪などの自然災害に遭うと倒壊の危険性が高くなり、防犯上や景観の点からも、近隣住民に深刻な影響を及ぼすなどの社会問題が発生しています。

空家の特別措置法が施行されたことで、各自治体の権限に法的な裏付けが与えられ、空き家問題の総合的な施策が動き始めます。この空家新法の施行によって、各自治体は新たに次のようなことができるようになりました。

1 市町村は、空き家の中でも、屋根や外壁が著しく傷み、多数の窓ガラスが割れたまま放置されたり、立木が朽ちて隣地に大量に散乱したり、ゴミの放置などで悪臭が発生しているなど国が示す判断基準に合致する空き家について、「特定空家等」の判定をします。その判定に当たり、市町村に立入り調査の権限が与えられました。

2 特定空家等と判定されると、市町村長は、その空き家の所有者等に対し、除却、修繕、立木竹の伐採その他の必要な措置をとるよう助言又は指導することができます。

3 市町村長は、2の助言又は指導をしたにもかかわらず、その特定空家等の状態が改善されない場合は、助言又は指導を受けた者の対 し、相当の猶予期間を付けて、必要な措置をとることを勧告することができます。

4 3の勧告を受けた者が正当な理由がないのに勧告を受けた措置をとらなかった場合、市町村長は、特に必要があると認めるときは、 の者に対し、相当の猶予期間を付けて、勧告した措置をとるように命令することができます。
この措置命令を発するためには、あらかじめ書面で通知して意見書の提出を求め、自己に有利な証拠を提出機会を与えなければなら  ないとされています。命令を受けようとする者からの請求があれば、公開よる意見聴取が行われます。

5 市町村長は、4の措置命令を出したにもかかわらず、命令を受けた者が措置を履行しないとき、履行しても十分でないときなどは、行政代執行法に基づく代執行を行うことができます。いわゆる強制撤去を実行できます。

6 市町村長は、4の措置を命令しようとする場合に、過失がなく、その措置を命令されるべき者を確知できないとき、市町村長は、あらかじめ公告した上、その者の負担において、その措置を自ら行うことができます。

7 上記4の措置命令に違反した者は、50万円以下の過料に処せられます。上記1の立ち入り調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、 20万円以下の過料に処せられます。

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空き家の放置そろばん勘定

平成25年10月1日時点で、全国に約820万戸の空き家があります(総務省が本年7月29日に発表した住宅・土地統計調査速報)。

ほとんど利用する見込みのないあばら家同然の家屋でも、その敷地は住宅用地とみなされます。この場合200㎡以下の土地であれば、固定資産税の課税標準額が更地の6分の1になります。

空き家を取り壊すとなれば、高い解体費用を払ったうえに税金が数倍に跳ね上がるというのでは、空き家のまま放置しておいたほうが得というそろばん勘定になります。

一方、空き家を放置しておくと犯罪者の溜り場となったり、火災の標的にされたり倒壊などで近隣住民から損害賠償を請求されるリスクを伴い、孫子の世代に解体費用などの負担を残すことになります


当面の得を維持する目的で放置していたのに、さらに大きな損を抱え込むというそろばん勘定にもなりかねません。

今秋の臨時国会では、空き家所有者の自発的な解体を阻害している税制を軽減措置によって改めることなどを盛り込んだ「空き家対策特別措置法」案が審議され、成立の見込みです。

国レベルでの本気度が、地方自治体が真剣に取り組んでいる空き家問題解消に向けて加速することを期待したいものですね。

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